今や、年賀状はパソコンで作る時代。マウスでクリックすれば、色鮮やかな年賀状が簡単に作れてしまう ・・・ 。しかし、しかしそれでいいのかニッポン国民よ! 確かに、パソコンならプロ顔負けの年賀状がお手軽に作れてしまう。しかし、かつてニッポンには「プリントごっこ」なる高度かつシンプルな機械があるではないかっ! せいぜい10色程度しか使えなくてもいい! 色が隣ににじんだっていい! 乾燥が不十分だと、宛名の面に色が移ってしまってもいい! 俺は、俺の道を行く。プリントごっこを極めるのだっ! ・・・ と、いきがってみたところで、新しいプリンターとソフトを買う金もなく、ついでに扱う自信のない前世紀の遺物のたわごとだったりして(涙)。だって、だってサ。インク代もバカにならないし ・・・ いいんだいいんだ、こうなったら、プリントごっこでどこまでいけるか試してやろうじゃん!? |
お袋にもらった「プリントゴッコ」 いまだ健在です |
アタマで大きく言ってみたものの、実際のところ半分意地でプリントゴッコを使っているようなのが今の状態だったりして・・・。でもこれがなかなか、慣れると使い勝手がいいんですわ。 ちなみに、本体はお袋から譲ってもらったもので、かれこれ3〜4年になるかな。その前から借りていたのを考えると、かれこれ5年以上は愛用していることになる。一度はパソコンでやったのだけど、ソッコーで無くなるインクに、企業側の陰謀を感じてみたりして・・・ ちょっとヤになったのを告白しておきましょ。いやしかし、以前のプリンターは、もっともっとインクはもったものだぞっ! いやホントに。 ちなみに、御存知の通り「プリントゴッコ」では異なる色を並べることはできません。詳しい仕組みは割愛するとして、とにもかくもできないのだ。てなわけで、一時期氾濫したプリントゴッコ年賀状を見てみると、単調な単色刷りになるか、むりやり多色にしたものだから、隣り合う色が混じっちゃったりしちゃったりして・・・ これまた無残な結果になってしまうこともしばしば。それが味といえばそうなのだけど、ここいらの「手間」が、プリントゴッコを壊滅の危機に陥れているのではないかと思ってしまうのでふ。 しかし、手間を惜しまず、版下を増やすことによって、確実に綺麗な色分けができるのだ。もう、高度なテクも何もありゃしない。ひたすら辛抱の連続ナリ!! |
多色刷り 手間ぁかかるけど、仕上がりはGOOD!! |
ちなみに、初の多色刷りに挑んだのは去年の話。 どうしても隣あう色を塗り分けたいのと、最後の黒の縁取り線がもたらす画面の引き締まりがどうしても欲しかったから。そして、思案の末、最終的に三刷体制で行うことになった。多少の不安があったものの、作戦は成功。充分満足できる出来になったわけだ。 一部からは、「来年も期待してるよ」という、神の声援とも悪魔のささやきとも言える声が掛かったりしたりで、引くに引けない雰囲気が自分を包み始めてしまっていた・・・ てことで、 今年は9刷体制で決まり!! 使用色は、黒を加えた13色! 版下も、実に7枚に及んだ。ここまでの枚数になると、その全てをピッタリ一致させるのが困難なのでは!? なんて気にもなるけども、去年の教訓では、それほどシビアにならなくても充分綺麗にみえるのが、最後の「黒」のマジックでもあると確信に至っているので、全然OK! 重い腰があがれば、コトは進むのだ・・・ ? |
原案から、原画へ。 版下作画が一番面倒・・・ |
●原画作成●
作業は長期に及ぶとの経験から、実は11月の末には原案を出さなければならなかった・・・(涙) 今回のテーマは、「宝船に乗った七福神」。まずは、その七福神の姿を調べなけりゃならない。頼りはインターネットだけど、一晩がかりでなんとかおおむねのイメージは掴めてた。んでもって、そのイメージをもとに、ラフ画をいくつか描いて、そのラフ画をもとにして、下書きへなだれ込む ・・・ そしてペン入れして原画完成!!(↓中央) ![]() とか言っていると、実に集中して作業してるように思えるけども、実際にかかった日数は実に10日近く。集中していようがいまいが、進まなくなると全くすすまない作業なもんで、気の向いたときに少し進めるといったスピードなものだから・・・ ああぁ、プロのイラストレーターでなくてよかった!! ・・・なんて、心から叫んでしまう。こんな調子だから、11月から動いているんだネ。ちなみに、この時点で12月も5日くらい・・・(笑)
●色分け工程●
ちなみに、オマケのノウハウを一つ。原画は完成原稿よりも大きめに作るのが常識で、今回は葉書サイズの141パーセント大で原画を描いた。今度はその原画を71パーセントに縮小すれば、大体モトの大きさになる算段。多少絵が稚拙だろうが、字が下手だろうが、この魔法の縮小をかけると、上手に見えてしまうから不思議フシギ!! 一度お試しあれ。 んで、出来た下書きを「黄色」のカラーコピーで、6枚、「黒」のコピーで1枚コピーしてやる。 ちなみに、「黄色」にする理由は、版下を作るときに、影響を与えない為。黒やら濃い色で作っちゃうと、余計なところまで版下にうつりこんでしまうから。本来は水色でいいはずなんだけど ・・・ いかんせん、カラーコピーの水色は濃いからねぇ。保険みたいなもんス。 んでもって、あとは色をつけた下絵とにらめっこしつつ、それぞれの版下の色を置く部分をペンもしくは鉛筆で塗り潰すのみ。 ↑ちなみに、鉛筆はよろしくなった。やっぱり、ムラをなくすにはマジックや筆ペンがGOOD。 塗り残しがないか、しつこいまでに確認したら、この7枚を縮小コピーをかけて葉書サイズにして ・・・ 原稿製作は終了!! |
版下にインクを充填 意外な助っ人登場 |
プリントゴッコの最大の見せ場である、電球フラッシュによる「焼き付け」を行い、版下に原稿の絵を焼き付けて、その版下にインクを乗せていく工程に入っていく。 ●インクブロックで色混ざり防止●
一番面倒臭い作業がこれ、「インクブロック」・・・。糊のついたスポンジで、となりあうインクが混ざらないように「土手」を作っていくのだけど、ここまで色が多いと、貼る数が面倒で、細かい作業が嫌いなアチキとしては、刑務所の作業のように思えて仕方がない。そうすると仕上がりも雑になったりで、もう悪循環。 なんて作業をみていたカミさんが、「面白そうだからやらせて」だと!! なんてヤツだ、こんな作業が「面白そう」だとう? よし、やってみなさい。 ・・・あ、本当にたのしそうだ。 しかも、俺よりも丁寧で上手い!! てことで、この作業はカミさんが専属になることになりました。いやはや、こんなに近くに強力な助っ人がいたとは!! そんなこんなで、作業は倍速以上で進行してゆく・・・。
●インク注入●
![]() (↑)インクブロックができたら、ひたすらインクを流し込む。ちなみに、ケチらずに流し込むのが吉。残量が少なくなると、インクの押し出しが弱くなってしまって色が出てこなくなることもある。あと、意外に握力勝負なのも付け加えておこう ・・・ 女性にはちょいと酷かも! |
この工程が一番楽しい あとは、レッツ「プリントごっこ」〜!! |
●印刷工程●
![]() あとは、今までの作業の結果を見るのみ、の、印刷工程。一番楽しくもあり、不安でもあり・・・。全ての苦労が結実する瞬間でもあり、また、全ての失敗が明るみにでる瞬間でもある。といっても、もう後の祭りだけどねン。ひたすらギッチャンギッチャンと、「プリントゴッコ」するしかないのだ。
そんなわけで、行ってみよう!!
一発目。まだまだ、何がなんだか・・・ ![]() 同系色追加。文字も出てきたねぇ〜。 ![]() おおうぅ、早くも「ズレ」がっ!!でも、大丈夫なはず ・・・ 多分。 ![]() ささやかな部分追加。おおむねのディティールが現れてきたぞっと。相変わらずズレが・・・(汗) ![]() 完成間近。この段階では、全体的にボヤけている ・・・ けど、この次! 最後の「黒」ビシッと決まる。 決まるはず!! 決めてくれっ!! ![]() 最後の「黒」・・・ 一番、期待と不安が高まる瞬間 ・・・ それいけ、どうだっ! べべ〜んっ! ![]() どうでしょう!? 確かに、ズレが目立たないでしょう(笑) 最後の黒で、全体がまとまるこの不思議。縁取りマジックとでも呼んでやろうか・・・。いや〜、苦労した甲斐があったというもの。予想以上の結果でなにより! ちなみに、トップページ用に着色したのはこんなカンジ(↓)。ちょっと縮小に失敗しておりますが・・・(笑) ![]() ん〜、CGの方が綺麗だけど、プリントゴッコのほうが年賀状としては味があるような気もチラホラ。でもどうでしょう? プリントゴッコはこれくらい行けます。だけど、もうやりません。面倒ッス(笑) 来年は ・・・ CGをプリントしてもらおうかなっと。 どうでしょう、押入れのなかのプリントゴッコを引き出して、アナタもおひとついかがっスか!? |
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