バイクの車への搭載に必須なラダーレール。市販品はほとんどアルミ製で、しかも折り畳み式ともなると2万円以上の高価品とくる。なぜ故に、そんなに高い? しかも、なぜ加工がめんどいアルミ? 鉄でもいいじゃないか。鉄のほうが、むしろラダーレールに向いているとも思えるのに・・・。てことで、ラダーレール=アルミそんな常識に風穴を空けるべく、鉄のラダー作りに挑む!!
・・・ただ単に、アルミ製が買えない貧乏人のひがみとも言えるけど(笑) |
テツが鉄にこだわる理由。 |
そりゃ、安いから(笑)。 ちょっと鉄工関係に詳しい人間ならもう即答。ステンレスやアルミと違い、錆びるし重いけども、それを上回るだけの魅力として、「安さ」がダントツに来る。そりゃもう、値段の開きとしてはアルミと鉄は実に10倍近く。もっとも、アルミのほうが鉄の3割程度の重量だから、同重量ならばその分安くなる(金属の値段は単価×重量)けども、それを考慮しても3倍以上の差があるわけだ。でも、それはほんの触り。 まずは、溶接性。 アルミ溶接は難しい。ただ単に付けるだけなら、それほど難しくはない。だけど、しっかり溶け込ませて強度を出して、となると極端に難しくなる。また、熱伝導がよくてなおかつ膨張率が強烈なもんだから、溶接の熱で面白いように歪みが出る。精密に組み上げるのは無理ではないにせよ、そんな苦労、しないで済むならそれにこしたこたぁないでしょう(笑) 鉄は、その溶接のし易さからここまで普及したといっても過言じゃないと思う。厳密には簡単じゃあないけども、手順さえ間違えなければこれほど従順な金属も珍しい。また、溶接がしやすいってのは、ラダーレールが曲がったり損傷を受けた場合の修理のし易さを意味する。そこいらの鉄工所でも直せるし、家庭用溶接機もある。こりゃ便利。 次に、柔軟性。 アルミは柔らかいってイメージはあるけども、なんつっても"アルミニューム合金"っちゅう「合金様」であるわけで、その種類たるや一冊の本になってしまうほど。バイクや車のフレームにも採用されくくらいなわけだから、強度という点ではかなり期待できる。 ・・・でも、「柔軟性」はどうか?? しならないんだ、アルミは・・・。融通が利かないと言うかなんというか。つまりは、限界を超えた瞬間、一気にブレイクしてしまうわけで、鉄なら曲がって修正が効くところでも、割れるか、折れる。たとえ修正をするにしても、火で炙って暖めないとダメだったりして、ちょっとメンドい。鉄なら、ハンマー一撃なんだけどね。 以上、板金溶接という仕事で鉄とアルミに関わってきたテツの感想でございます。師匠の一人の言葉を借りるならば、「アルミなんざ、軽い以外能の無い金属だろうが」というところ。もっとも、アルミであることのネームバリューだけを考えれば断然アルミなんだけどね〜・・・ いかんせん、余計な手間が増えまくる。 ただ、問題は錆びと重さ。 ・・・この問題を解決しなけりゃならない訳だね、鉄は。それを何とかするのが、仕事です(笑) |
"重さ"と"強度"、そして"柔軟性"・・・ ここまでかかっちまいました |
いままでの経歴はコチラまで。 つまりは、アルミで作ったものの盗難に遭い、かといってもう一度作るような気力も財力もなく(前述のアルミ批判は経験談だったわけですな)、「やっぱり鉄でしょう!」と制作開始。でも、一個目は重くて使い物にならず、二個目は軽いけど、やっぱり使い勝手が悪かった・・・ という、かなり カッコワルイ状態。 そんなわけで、鉄ラダー(折り畳み式)の初代と二代目を比較してみる。 ![]() 初代は使い勝手はいいけども、重すぎ。二代目は、軽いけども、使えない。つまりは、二代目の部品選択で、初代の寸法で組めばいいわけジャン?? なんて軽い気持ちで作ってみる。制作過程で、角パイプを並べて上で飛び跳ねてみてもまったく問題なし。こりゃ、思ったより楽勝か? そんなこんなでできあがった三代目は、見た目もスラッとしていて、重量も9.5kgと、充分実用的な重量。完成後、適当なところに引っかけて、飛び乗ってみた。 ミシ。
一瞬、嫌な感触が伝わってきた。でも、組み上げる前の角パイプにのった感じでは曲がるとは思えない。充分な強度があるはず。曲がるわけない ・・・ いや、ここまで来て曲がって欲しくないと思いつつ、こんどは飛び跳ねてみた! バキッ!
折れた。ものの見事に。いや、折れたというか、真ん中でものの見事に曲がっている。何故、何故、 何故?? ![]() 同じ長さの角パイプを並べて、その上で飛び跳ねても全然余裕だった。なのに、それを折り畳み式にして中間に補強かけて蝶番をつけただけなのに・・・ 蝶番が壊れるなら判る。でも、その蝶番の補強の直近で折れ曲がるように曲がっている。・・・いや、手書きのイラストが極端なのでなくて、本当にそんな状態。 昼休みの工場で、もう頭まっしろ。 一分ほど、本当に放心したあとは少し冷静さを取り戻して、原因究明に乗り出した。・・・んで、一つの結論に達する。それは、 荷重の一極集中。 つまり、一本ものならともかく、折り畳み式とする場合、その荷重はまず中心である蝶番に集中する。んで、その蝶番が耐えた場合、その蝶番が取り付けられているベースプレートに力が掛かって、そして最後にそのベースプレートがくっついている角パイプに荷重が集中して、そこだけ曲がった ・・・ と。でも、なぜ一本ものならば曲がらないか? それは簡単に推測がつく。単純に、 荷重が分散しているから 、だね。 そこまでは解った。けど、解ったけど ・・・ どうしよう??? 角パイプを太くするか? ・・・ いやいや、この様子だとあと二廻りか、それ以上太くする必要がある。てことは、そりゃ初代のラダーそのものだ。却下。そんなら、ベースプレートを拡大するか? ・・・いやいやいや、それは結局曲がる場所を移動しているに過ぎない。しかも、重くなる。それなら、角パイプを増やす? ・・・って、重くなるだけじゃん! それなら それなら それなら ・・・ ゴフ。 「重さ」と「強度」での考えは堂々巡り。とりあえずその日は仕事手つかずで、悩みまくった結果、「強度を上げても意味がない」という結論に至った。ならばどうするか? ははん、簡単です。荷重を全体に分散する「柔軟性」を持たせるのみ! な、ん、だ、け、ど。 どうしよう? |
キーワードは「荷重分散」 ヒントはこんなところに |
そんな時は思い出せ、あの苦しい北国の生活を。重労働に耐えた、腱鞘炎の日々を! 「荷重の一極集中」のキーワードでそんなことを思い出した。力仕事を続けて、手首に負担が溜まってなってしまった腱鞘炎(けんしょうえん)。その腱鞘炎を引きずってでも仕事をしなければならなかった時やった、解決法がヒントになる! それが、コレ↓ ![]()
テーピング
です。
もともとは、バスケとかで手首保護の為のテーピングなんだけど、流用してみたらこれがまた具合よかった。要は、手首にかかる負担を、手のひらから腕にかけて分散するもの。これをヒントに、ラダーに部品を追加して再度組み立ててみた。 ![]() わかるでしょうか?? 角パイプの上に細く切った板を点溶接で接合(長さは全長の3分の2くらい)。細かいことを言うと、中心部は溶接数を多くして、より力を分散するカタチにしてある。そして、この補強板の上に、蝶番が取りつくベースプレートを溶接すれば ・・・ 完成! |
三代目鉄ラダー登場 やっと実用的です |
![]() 補強板の効果は絶大で、重量増加はほんのわずかながら、耐荷重は二倍以上にハネ上がった。乗っただけで判る。揺すってみてもビクともしない。こりゃすごい!! 後日談だけど、どこまで強度があがるか試してみたくて、もう一回り太いパイプ(40ミリ×16ミリ)で同じ仕様を作ってみた。重量的には1kgほど増加したものの、耐荷重はさらに強烈で、重量級のバイクであるカワサキZ1(ゼットワン)で試したところ、なんの問題もなく使用できた。また、大人三人が乗って軽く揺すってみても、全体的にしなるだけで、曲がることはなかった。 バイクを搭載するにしても、結局は前輪もしくは後輪が乗るだけなので、実質かかる荷重はどんなに行っても200kgまでは届かない。普通に運搬するようなバイクならば、実質荷重は150kgもは行かないはず。てことは ・・・ ほとんどのバイクに使えると言っても、大げさではないってことかぁ〜!! |
なんとかカタチになって、とりあえず安心できた・・・(笑)
現在の重量はおおよそ9.5kg。これを、もういくつかの工夫を加えればもうちっと軽くできるかもなんて睨んでいるけどもどうだろうかな〜。でもまぁ、さしあたっての課題は、細い角パイプ(32ミリ×14ミリ)で、耐荷重200kg以上! 補強パイプの効能はもう疑う余地もないから、あとはその材質や厚み・長さ・溶接の場所と数でどうなるか。 アルミラダーに取って代わって、鉄ラダーが日の目をみる日まで(?)、がんばりまっす!! |
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